アウトバウンド・データの分析

実行時の事情に応じて、ZIETrans では、使用可能な複数の計画の 1 つを使用して、ホストが各画面更新の送信を完了したかを判断します。ZIETrans では複数の要因に基づいた計画を使用します。要因には、ホストの接続タイプ、接続状態、ユーザー構成可能な各種設定などが含まれます。

接続が使用中の計画を確認するには、ZIETrans ランタイムをトレースします。トレースの詳細については、ZIETrans 管理コンソールの機能の使用を参照してください。これらの各計画をカスタマイズするには、接続設定を追加または変更します。計画については表 1を、設定については表 2を参照してください。

表 1. 使用可能な計画
計画 Java™クラス名 説明と使用法
タイミング TimingNextScreenBean 初期値は、待機時間として使用されます。表示スペースのすべてのデータを確実に受信するために、ホストのアウトバウンド・データ伝送の着信に基づいて、待機インターバルが追加されることがあります。追加されるインターバルは、初期値の半分の値に設定されます。ZIETrans は、待機インターバルの後半に表示スペースのデータを受信すると、さらにインターバルを追加します。

この計画は、ホスト・タイプが TN5250、TN3270 の場合、およびホスト・タイプが TN3270E でコンテンション解消が使用されない場合に使用されます。

高速 3270E Fast3270ENSB この計画では、コンテンション解消で提供される TN3270E プロトコルによる通信を向上させ、アウトバウンド・データが完全に着信したタイミングをより正確に判断できます。この計画では、アウトバウンド・データ着信の追加タイミングはありません。そのため、表 2で説明する default.delayInterval および default.appletDelayInterval 設定は無視されます。

この計画は、ホスト・タイプが TN3270E で、接続にコンテンション解消機能が使用される場合に、使用されます。コンテンション解消を ZIETransで使用するには、この機能を telnet サーバーで活動化し、接続開始時に telnet プロトコルで折衝する必要があります。詳しくは、コンテンション解消 (TN3270E のみ)を参照してください。

この計画は、ホスト・セッションの SNA サイドがシステム・サービス制御点 (SSCP) に現在接続されている場合、ホスト・タイプ TN3270 と TN3270E にも使用されます。これは、ZIETrans が TN3270E プロトコルを使用してアウトバウンド・データの着信をすぐに判断できるためです。

高速 5250 Fast5250NSB この計画は、タイミング計画に基づいていますが、可能な場合、通常の待ちを簡略化することができます。OIA システム・ロック・フラグがクリアされ、空でない表示スペースの更新 (ブランク以外の文字を含む更新) をホストから受信している場合は、簡略化が許可され、通常の待ちが終了します。

この計画は、ホスト・タイプ TN5250 のデフォルトです。

画面間の遷移に関する設定のカスタマイズについては、表 2 を参照してください。
表 2. 画面間遷移設定
設定 (大文字と小文字を区別) 説明 デフォルト
default.delayInterval 画面確定計画を使用したアウトバウンド・データの分析中に、ZIETrans が待機する通常の期間 (ミリ秒単位)。インターバルを追加するタイミング計画や簡略化を行う高速 5250 計画のように、画面確定計画によって、実際の期間がこの設定値と異なることがあります。より高い値を指定すると、長い処理時間やネットワーク遅延によりホストで遅延が発生した場合に、画面変換の信頼性が向上します。ただし、より高い値を設定すると、応答時間が長くなります。特に、タイミング計画を使用して、この値が画面間の最小遅延である場合に、この傾向が強くなります。
注: Fast3270E 計画では、この設定が使用されません。
1200 ミリ秒
default.appletDelayInterval 画面確定計画を使用したアウトバウンド・データの分析中に、ZIETrans が待機する通常の期間 (ミリ秒単位)。非同期更新アプレットが使用可能であり、クライアント用に実行されている場合、default.delayInterval の代わりに、画面確定計画を使用します。インターバルを追加するタイミング計画や簡略化を行う高速 5250 計画のように、画面確定計画によって、実際の待機期間が異なることがあります。詳しくは、自動最新表示を参照してください。
注: Fast3270E 計画では、この設定が使用されません。
400
fast3270E.minimumWait 高速 3270E 計画と折衝されたコンテンション解消を使用したアウトバウンド・データの分析中に、ZIETrans が待機する最小期間 (ミリ秒単位)。この設定のデフォルト値は、250 ミリ秒です。この設定は、最小待機期間の値が小さいほど、画面確定の信頼性が向上する、以下の 2 つの場合に便利です。
  1. 高速 3270E 計画で、telnet クライアントで関連するすべてのイベントが処理される前に、受信したアウトバウンド・データのタイミングに応じて画面確定を実行できる場合
  2. 変換を意図しない短期間の一時画面がホスト・アプリケーションから送信されるために、この設定を使用して、一時画面が意図された画面に更新されるまで ZIETrans が待機する必要がある場合
この設定で指定される最小待機時間が全ての画面確定に使用されるので、この値を変更する場合は、ユーザー応答時間に注意してください。
250
fast5250.minimumWait 高速 5250 計画を使用したアウトバウンド・データの分析中に、ZIETrans が待機する最小期間 (ミリ秒単位)。このオプション設定は、最小待機期間の値が小さいほど、画面確定の信頼性が向上する、以下の一般的な 2 つの場合に便利です。
  1. 高速 5250 計画で、telnet クライアントで関連するすべてのイベントが処理される前に、受信したアウトバウンド・データのタイミングに応じて画面確定を実行できる場合
  2. 変換を意図しない短期間の一時画面がホスト・アプリケーションから送信されるために、この設定を使用して、一時画面が意図された画面に更新されるまで ZIETrans が待機する必要がある場合
この設定で指定される最小待機時間が全ての画面確定に使用されるので、この値を変更する場合は、ユーザー応答時間に注意してください。
0 (最小期間なし)
default.nonHostKeyWait 実際の画面確定ステップを必要としない [fldext]、[field+]、[eraseeof] などの擬似 AID キーの 1 つを処理した後に ZIETrans が待機する時間をミリ秒単位で指定します。この設定を変更しないことをお勧めします。 100
nextScreenClass アウトバウンド・データの分析中に計画のオーバーライドを許可します。それには、ZIETrans が使用する計画とは別の計画の完全修飾 Java クラス名を指定します。ホスト・アプリケーションから 5250 アウトバウンド・データが送信され、ZIETrans が一部のホスト画面または誤ったホスト画面を変換して表示する場合に、信頼性を向上させるために、5250 アプリケーションの調整でこの設定が使用されることがあります。このような特殊な場合は、この設定で com.ibm.hats.runtime.TimingNextScreenBean を指定することによって、Fast5250 計画でなく、タイミング計画がアウトバウンド・データ分析で使用されるように強制できます。ZIETrans の計画に対する Java パッケージ名は、com.ibm.hats.runtime です。ホスト・タイプ TN3270 または TN3270E では、この設定を使用しないことをお勧めします。 ホスト・タイプなどの 表 1 で説明する要因によって異なります。
すべての計画に適用される初期画面のカスタマイズ設定については、表 3 を参照してください。
表 3. 初期画面設定
設定 (大文字と小文字を区別) 説明 デフォルト
default.delayStart アウトバウンド・データの分析中に、ZIETrans が初期ホスト画面についてのみ待機する通常の期間 (ミリ秒単位)。接続セットアップ・プロセスが使用可能な画面を取得するためにすでに待機しているので、この値は、追加遅延にはなりません。関連する ZIETrans 設定の connecttimeout を参照してください。この値は、そのホストとの通信が開始されてから初期画面の認識を試行するまでに ZIETrans が待機する最小期間です。高速ネットワークに対しては、この値を小さく設定し、初期画面の応答時間を向上させることができます。 2000
ignoreBlankStartupPS ホストへの接続後に、完全にブランクである表示スペースを正しい最初の画面として使用するかどうかを指定します。ほとんどのホスト接続では、MSG10 画面などのログオン画面が表示されます。完全にブランクである画面も ZIETrans で変換などの処理を行う有効な最初の画面として許容する場合は、この値を false に設定します。false を設定しない場合は、ZIETrans で接続セットアップが成功したとは見なされません。