ZIETrans の主要概念とオブジェクト

このセクションでは、ZIETrans の主要な概念とオブジェクトについて説明します。一部の概念については、ZIETrans アプリケーション処理の概要の理解で説明します。ZIETrans の主要オブジェクトの多くは ウィザードを使用して作成されますが、作成後に表示または修正する場合はエディターを使用します。

プロジェクト
ZIETrans リソース (成果物とも呼ばれる) の集合。これは ZIETrans Toolkit のウィザードを使用して作成され、ZIETrans Toolkit エディターを使用してカスタマイズされます。これらのリソースは、ZIETrans アプリケーションとしてエクスポートされます。ZIETrans プロジェクトには 5 とおりのタイプがあります。Web および EJB の各プロジェクトと、ZIETrans Web (EJB を含む) アプリケーションの管理を目的とする ZIETrans 管理コンソール・プロジェクトです。詳しくは、『ZIETrans Web アプリケーションの開発およびデプロイ』を参照してください。
イベント
特定の状態への到達に基づいて一連のアクションを実行する ZIETrans リソース。ZIETrans イベントには、アプリケーション・イベントと画面イベントの 2 種類があります。
アプリケーション・イベント
アプリケーションのライフ・サイクル内での状態変更により起動される ZIETrans イベント。アプリケーション・イベントの例には、ユーザーによる ZIETrans アプリケーションへの最初のアクセス (開始イベント)、またはアプリケーションによる認識できない画面の検出 (不一致画面イベント) などがある。詳しくは、『アプリケーション・イベント』を参照してください。
画面イベント
特定の画面認識基準と突き合わせることによってホスト画面が認識されると起動する ZIETrans イベント。画面イベントには、画面カスタマイズと画面組み合わせの 2 種類があります。
画面カスタマイズ
ホスト画面が認識されたときに一連のアクションを実行するように設計された、ZIETrans 画面イベント。画面カスタマイズの例としては、画面の認識、ユーザーの GUI への画面の変換、マクロの再生による画面のスキップなどがあります。画面カスタマイズ定義には、画面認識基準のセットと、ホスト画面が画面認識基準に一致した場合に実行するアクションのリストが含まれています。画面レベルのグローバル規則とテキスト置換設定も含まれます。詳しくは、『画面イベントの処理』を参照してください。
画面組み合わせ
連続した類似のホスト画面から出力データを収集し、そのデータを結合して単一の出力ページ内に表示するように設計されている ZIETrans 画面イベント。画面組み合わせの例としては、部分データのみが含まれている画面を認識し、すべての後続画面をナビゲートして、ユーザーに対して表示するために残りのデータをすべて収集することがあります。画面組み合わせ定義には、組み合わせる開始画面と終了画面の画面認識基準のセット、画面間のナビゲート方法、および各画面から収集したデータを認識してレンダリングするために使用するコンポーネントとウィジェットが含まれています。また、1 回以上実行されるアクションのリスト、画面レベルのグローバル規則とテキスト置換設定も含まれています。詳しくは、『画面イベントの処理』を参照してください。
画面認識基準
画面イベントの作成時に、ZIETrans が 1 つ以上の画面の突き合わせに使用する画面認識基準を設定します。画面上のフィールド数または入力フィールド数、カーソル位置の座標、および、画面上に定義された長方形枠内または画面の任意の場所にあるテキスト・ストリングなどの基準を任意に組み合わせて、ホスト画面を認識させることができます。グローバル変数、色、値と比較する領域、画面認識基準の領域基準と比較する領域を使用することもできます。

ホストが何らかの画面を表示すると、ZIETrans は、そのホスト画面が、プロジェクト内の画面イベントで設定されている画面認識基準のいずれかに一致するかどうかを調べます。ZIETrans が一致を検出すると、画面イベントで定義されているアクションが実行されます。

画面認識基準の設定方法の詳細については、画面認識基準または開始画面を参照してください。

アクション
イベントが発生した場合 (画面イベント用に指定された画面認識基準にホスト画面が一致した場合など) に実行されるステップ。アクションのリストは、各アプリケーション・イベントおよび画面イベントの定義の一部です。
変換
ホスト・コンポーネントの抽出方法と GUI でのウィジェットを使用した表示方法を定義する JavaServer Pages (JSP) ファイル (Web プロジェクトの場合)。変換の適用は、画面イベントの考えられるアクションの 1 つです。パレットから ZIETrans コンポーネントをドラッグし、ZIETrans 「プロパティー」ビューから設定を変更して、変換を WYSIWYG 方式で編集することができます。

変換の作成方法の詳細については、変換の処理を参照してください。

ホスト・コンポーネント
ホスト・コンポーネントは、ZIETrans アプリケーションのユーザーに対して表示するホスト画面のエレメント (コマンド行、ファンクション・キーなど) を認識する ZIETrans オブジェクトです。ZIETrans が提供するホスト・コンポーネント・セットを使用することも、ユーザー独自のを作成することもできます。

ZIETrans プロジェクトで使用するホスト・コンポーネントを選択する方法の詳細については、ホスト・コンポーネントを挿入を参照してください。

カスタム・コンポーネントとウィジェットを作成するウィザードの使用方法について詳しくは、「カスタム・コンポーネントおよびウィジェットの作成」を参照してください。

ウィジェット
ウィジェットは、ZIETrans プレゼンテーションにホスト・コンポーネントGUI 出力を作成する ZIETrans オブジェクトです。例えば、ファンクション・キー・ホスト・コンポーネントをボタン・ウィジェットに変換することで、ファンクション・キーを ZIETrans アプリケーションのプッシュボタンとしてユーザーに対して表示できます。ZIETrans が提供するウィジェットを使用することも、ユーザー独自のウィジェットを作成することもできます。

ZIETrans プロジェクトで使用するウィジェットを選択する方法の詳細については、ホスト・コンポーネントを挿入を参照してください。

カスタム・コンポーネントとウィジェットを作成するウィザードの使用方法について詳しくは、「カスタム・コンポーネントおよびウィジェットの作成」を参照してください。

接続
ホスト・アプリケーションへ接続するために ZIETrans が使用するパラメーターのセット。ZIETransには、デフォルト接続 (変換接続とも呼ばれる) とバックグラウンド接続の 2 つの接続のタイプがあります。各 ZIETrans アプリケーションでは、ZIETrans によって変換される画面を持つホスト・アプリケーション用のデフォルト接続を 1 つ保持しています。バックグラウンド接続は、ZIETrans アプリケーションにおけるデフォルト接続以外のすべての接続です。ZIETrans はバックグラウンド接続からの画面は変換しません。ただし、デフォルト接続として使用する接続を動的に選択できます。詳しくは、『接続の管理』を参照してください。
グローバル規則
変換フラグメントを使用して、画面レベルまたはプロジェクト・レベルにおける 特定タイプのホスト入力フィールドから特定のウィジェットへの置換を指定する規則。変換フラグメントには、特定の変換においてあるパターンの全オカレンスを置換する際に使用する内容が含まれています。
注: 画面イベントの変換アクションを編集することによって、変換の特定の使用法に対してグローバル規則をオフにすることができます。

詳しくは、『「レンダリング」』を参照してください。

デフォルト・レンダリング
特定の画面イベントが指定されていないホスト画面をレンダリングするときに ZIETrans が使用するレンダリング方法。ホスト画面の定義領域に適用される特定の変換において、デフォルト・レンダリングを使用できます。詳しくは、『「レンダリング」』を参照してください。
テキスト置換
テキスト置換は、GUI 変換において、プロジェクト・レベルまたは画面レベルでhost画面のテキストをイメージ、HTML (Web のみ)、またはその他のテキストに変換するために使用されます。詳しくは、『テキスト置換』を参照してください。
テンプレート
プロジェクトの外観を拡張可能にする JSP ファイル (Web プロジェクトの場合)ZIETrans プロジェクトを作成するときに、プロジェクトのデフォルト・テンプレートとして使用するテンプレートを選択します。テンプレートには、会社のロゴや情報、およびほかのページへのリンクを含めることができます。ZIETrans が提供するサンプル・テンプレートから選択してデフォルトとすることも、ZIETrans Toolkit でテンプレート・ウィザードとエディターを使用してプロジェクト用のカスタム・テンプレートを設計することもできます。既存ファイルから事前設定されたテンプレート、または Web プロジェクトの場合は URL から事前設定されたテンプレートも作成できます。

GUI では、変換が適用されたエリアをテンプレートが囲みます。画面イベントの結果として、デフォルト・テンプレート以外のテンプレートを適用することもできます。テンプレートと変換を関連付ける方法の詳細については、テンプレートの使用を参照してください。

ビジネス・ロジック
画面カスタマイズなどのイベントでアクションとして呼び出される Java™ コード。ビジネス・ロジックは、アプリケーションに固有です。

ビジネス・ロジックについて詳しくは、「ビジネス・ロジックの 追加」を参照してください。

グローバル変数
ZIETrans アプリケーション・インスタンスの存続期間中を通して使用できる値を格納するために使用する変数。グローバル変数の値は、ホスト画面から抽出することも、開発者が定義することもできます。グローバル変数は、テンプレート、変換、画面イベント・アクション、または認識基準で使用できます。これらの変数は、エンタープライズ・アーカイブ (.ear) ファイルにおける Web アプリケーション間で共用することもできます。グローバル変数は、索引を付けたり、マクロ、ビジネス・ロジック、統合オブジェクト内で使用したりできます。

グローバル変数の詳細については、グローバル変数との対話を参照してください。

マクロ
一組の画面と、それらの画面上で実行するアクションを定義する XML スクリプト。マクロは、ユーザーとホストとの対話を自動化するために使用します。画面をスキップし、ループし、ユーザーにデータ入力を求める (または、自動的にデータを挿入したり、グローバル変数を指定したりする) プロンプトを表示し、ホスト画面情報を抽出する、という動作をマクロに記録して実行できます。
ZIETrans アプリケーションでは、さまざまな方法でマクロを使用できます。
  • マクロは、ZIETrans イベントの「マクロを実行」アクションの一部としてデフォルト接続で実行できます。マクロは、画面イベントで定義する最後のアクションにする必要があります。
  • マクロは、ZIETrans イベントの「マクロ・トランザクションを実行」アクションの一部としてバックグラウンド接続で実行できます。
  • 変換に「マクロ」ボタンを追加すると、マクロが実行できます。これにより、ユーザーがマクロを実行するかどうかを制御できるようになります。
  • 統合オブジェクトによってマクロを実行できます。
  • 接続マクロを使用して、接続の事前準備ができます。
  • 切断マクロを使用して、接続をクリーンアップできます。
ZIETrans 環境にマクロを取り込む方法の詳細については、マクロとホスト端末を参照してください。
統合オブジェクト
マクロから作成される Java オブジェクト。このオブジェクトは、WebSphere® アプリケーションのビルディング・ブロックとして使用できます。統合オブジェクトは、host・データ・ソースとの対話をカプセル化する Java Bean です。これらのデータ・ソースには、3270、5250、 およびビデオ端末 (VT) データを使用する端末向けアプリケーションが含まれています。

同じ接続を共用する統合オブジェクトをグループ化し、ZIETrans アプリケーション内で単一のメジャー・タスクを実行することができます。これは、統合オブジェクト・チェーニングといいます。詳しくは、『統合オブジェクトの使用』を参照してください。

ホスト端末
ライブ ZIETrans Toolkitホストへの接続。ホスト端末を使用して、画面の取り込み、画面イベントおよび画面変換の作成、そしてマクロの記録および編集を行うことができます。すでに記録またはインポートしてあるマクロを実行することもできます。ホスト端末では、画面を GUI としてプレビューすることもできます。
端末の表示
実行時の ZIETrans アプリケーションとホスト・アプリケーションとの対話を監視するために、テストおよびデバッグ中に使用できるホスト画面を表示する端末ウィンドウ。端末ウィンドウ内のホスト画面を使用して、ホスト・アプリケーションと対話することもできる。端末の表示の詳細については、テストとデバッグでの端末の表示の使用を参照してください。
画面キャプチャー
ホスト画面の XML 表現。.hsc ファイルに保管され、画面カスタマイズ、画面組み合わせ、変換、グローバル規則、またはマクロの作成またはカスタマイズに使用されます。画面キャプチャーは、ホストに接続していない場合でも ZIETrans プロジェクトの開発に使用できるため、有用です。ZIETrans 統合オブジェクトと Web サービス・サポートのコアとなるマクロの作成にも有用です。

ビデオ端末 (VT) ホスト画面の画面キャプチャーは、Visual Macro Editor を使用して、およびプール構成時のチェックイン画面として、マクロを作成またはカスタマイズするために使用できます。これらの画面キャプチャーは、画面カスタマイズ、画面組み合わせ、変換、デフォルト・レンダリング、またはグローバル規則の作成には使用できません。

サーバーで実行 (Web のみ)
Eclipse の機能の 1 つ。これを使用すると、ZIETrans Web プロジェクトを、WebSphere Application Server インスタンスまたは WebSphere Portal インスタンスのいずれか適切なインスタンスでテストできます。このモードでは、runtime.properties ファイルに定義されたランタイム設定を変更およびテストし、それをランタイム環境にデプロイできます。このモードでテスト中に変更したランタイム設定は保持されます。 この設定は、ZIETrans アプリケーションをランタイム環境にデプロイするときに有効になります。ランタイム設定の変更の詳細については、問題判別コンポーネントの管理を参照してください。
サーバーでデバッグ (Web のみ)
「サーバーで実行」と同じですが、さらに以下の操作が可能です。
  • プロジェクトのテスト中に、ディスプレイ端末を使用して、ホスト画面をナビゲートしながら表示する。
  • Eclipse コンソールでデバッグ・メッセージを確認する。
  • テスト・サーバー上でアプリケーションを再始動せずに、プロジェクトの変更 (テンプレートや変換の変更など) を表示する。
  • runtime.properties ファイルに定義され、ランタイム環境にデプロイされた設定を変更せずに、runtime-debug.properties ファイルに定義されたランタイム設定を変更およびテストする。
  • ZIETrans ビジネス・ロジックなどの Java コードをステップスルーする。
サーバーでプロファイル作成 (Web のみ)
「サーバーで実行」と同じですが、さらに冗長性を排除するため、ほとんどの場合に必要とされる操作を洗い出し、繰り返し実行されるアクションを特定することができます。この機能をパフォーマンス分析に使用して、アプリケーションの理解を向上させるために役立てることができる。
印刷サポート
ホスト・セッションと関連付けるプリンター・セッションを指定し、ユーザーがホスト・アプリケーション印刷ジョブを表示、プリンターに送信、またはディスクに保管できるようにするために、開発者が利用する機能。印刷サポートは、デフォルト接続でのみ使用できます。

印刷サポートの詳細については、印刷サポートの使用可能化を参照してください。

キーボード・サポート
GUI でアプリケーションが稼働しているときに、ユーザーが物理的なキーボードを使用してホストと対話できるようにするための開発者の機能。開発者は、プロジェクトにホスト・キーパッドまたはアプリケーション・キーパッド (あるいはその両方) を含めるかどうかも決定する。キーパッドを組み込む場合、開発者は、組み込むキーとそのキーおよびキーパッドを GUI で表示する方法を決定します。

キーボード・サポートの詳細については、キーボード・サポートの有効化を参照してください。

キーパッド・サポート
ホスト・キーパッドとは、ユーザーがキーボード上の物理的なキーを押すのと同じようにホストと対話できるようにするボタンまたはリンクのテーブルです。ただし、ホスト・キーパッドのボタンやリンクを使用せずに、キーボード上の物理的なキーを使用することもできます。ホスト・キーパッドの詳細については、ホスト・キーパッドを参照してください。

アプリケーション・キーパッドとは、ユーザーが ZIETrans アプリケーションに関連するタスク (印刷ジョブの表示や画面の最新表示など) を実行できるようにするボタンまたはリンクのテーブルです。アプリケーション・キーパッドの詳細については、アプリケーション・キーパッドを参照してください。